作者は、フィンランドのヘルシンキを拠点に世界で活躍する
アーティスト兼イラストレーターのHanna Konola(ハンナ・コノラ)。
日本語には「風」の表現がたくさんあります。
そんな日本語版を意訳したのは皆川明さん。
皆川さんが紡ぐ言葉により、大切な人へ贈り、
読み継いでいただきたい1冊となりました。
風はいつ生まれ、どこへ行くのでしょうか?
私たちは、風を見ることはできませんが、
その動きや音を暮らしの中で感じることができます。
この絵本は、1年間の風が織りなす物語であり、
私たちの日々の物語です。
風が光り、そよぎ、舞い上がり、薫る。
優しく強く。
風が吹く一瞬一瞬。
風は、新しい季節を運んでくれます。
『風と出会う日々のこと』の原本である「Tuulen vuosi」は、
フィンランドの版元Etana Editionsより2016年に発刊されました。
同年、フィンランドで最も美しい絵本を選ぶ「The Most Beautiful Books of the Year 2016」に選ばれました。
また、2018年には、「ボローニャ・ラガッツィ賞(BolognaRagazzi Award)」のフィクション部門において、特別賞を受賞。
「Tuulen vuosi」は、これまでに8言語(フィンランド語、英語、中国語、フランス語、ガリシア語、イタリア語、韓国語、スペイン語)に翻訳され、出版されております。
『風と出会う日々のこと』
さく: Hanna Konola (ハンナ コノラ)
やく: 皆川 明
日本語版デザイン: 小熊千佳子
定価: 本体2,000円+税
仕様: 208 x 260 mm、24ページ
発売日: 2020年12月21日
発売元: KORVAPUUSTI
2020年秋、小さな出版社「KORVAPUUSTI(コルバプースティ)」をつくりました。
凛とした空気、素朴であたたかい人柄、美しいデザインと自然、何度も訪れたくなる国であるフィンランド。
フィンランドのWEBショップを運営するようになり、現地に通う中で、そこに暮らすアーティストとの大切な出会いがありました。
そのアーティストであるHanna Konola(ハンナ・コノラ)さん。
ポスターのデザインから魅了され、彼女の新しい挑戦であった絵本作品にも触れることとなりました。
ちょうどその頃、娘に絵本を読み聞かせることが増えており、自分にとっても絵本がとても身近な存在でありました。
Hanna Konola(ハンナ・コノラ)さんのポスター「Oksisto」
Hannaさんの絵本は、ヘルシンキにある出版社「Etana Editions」から出版されていました。
Hannaさんの美しい作品はどのように絵本になったのか。この絵本を日本の皆さまにも知ってほしい。
もちろん私は海外の絵本を扱ったことがありません。Hannaさんに相談し、とにかく「Etana Editons」に向かってみることにしました。
そこは、ヘルシンキの海のそばにあるとても美しい場所でした。
小さなオフィスに入ると、たくさんの素敵な絵本が目の前に飛び込んできました。
日本にはないストーリーや多様性、色の豊かさ、絵本とそれに基づくワークショップ活動のお話をお聞きし、今までにない衝撃を受けました。
Etana Editions オフィス
2014年、Jenni Erkintalo さんと Réka Király さんの女性2人で立ち上げた「Etana Editons」。
2人は、子どもたちに好奇心や想像力を育てるような絵本を届けたいという想いを持って出版されていました。
Hannaさんが作った作品をはじめ、ぜひ「Etana Editons」の絵本をぜひ日本の皆さまに紹介したい。改めてその想いを強くしました。
フィンランド語版と英語版の絵本しかありませんでしたが、日本に戻るとすぐに販売を始めました。日本語の直訳を作り、そのプリントを絵本と一緒にお渡しするという活動を2年ほど実施しながら…。
ただしその中で、やはりもっと多くの人に親しんでいただけるよう、日本語版を出したいという想いが日に日に強くなりました。
Etana Editionsのお二人
日本語版を作るにあたって、Etana Editionsと大手出版社をつなぎ、販売してもらえないかお願いするという方法もあったと思います。
しかし、最後まで自分の手で届けていきたいという想いから、小さな出版社「KORVAPUUSTI」を立ち上げることを決意しました。
この先の人生において、まっすぐにずっと絵本と向き合っていきたいと心に響いた瞬間でもあります。
迷いながらも、直接想いを伝えながら絵本を販売していくことを選びました。
全国の皆さんへ、大切に1冊1冊お届けしていきたいと思います。
KORVAPUUSTIから届く絵本が、長く読み継いでいただけるものになるよう、そして、皆さまの小さな喜びや幸せにつながればと願い、ここから絵本出版の活動を始めていきます。
KORVAPUUSTI 岩城真理
photo by Satu Palander
フィンランドのヘルシンキを拠点に活躍するアーティスト兼イラストレーター。
北欧や日本、アメリカなどで彼女の作品に触れることができる。
絵本作家としてのデビュー作品 「Tuulen vuosi」 ( Etana Editions )は、2018年にフィクション部門において、ボローニャ・ラガッツィ賞の特別賞を受賞。
日本は、私にとってまだ少し謎に包まれていて、言葉の壁もありまだ多くのことが隠されているように思います。
その神秘性は、私にインスピレーションを与え、創造の余白を与えてくれます。
いつか列車で日本を旅して、小さな村や様々な景色に触れたいです。
多くの日本のアーティストやデザイナー、そして日本人のあたたかい心遣い敬意を表します。
幼い頃から家族で図書館に行き、山のようにたくさんの絵本を持ち帰っていたことを思い出します。
幸いにも、私は今でもこの家族の伝統を娘と一緒に続けています。娘は生後数週間から絵本に興味を持ちました。
それぞれどの絵本にも素晴らしい世界があり、愛すべき本です。 私たちは絵本を通して、新しい方法で世界をみることができます。
photo by Shoji Onuma
1995年に「minä perhonen」の前身である「minä」を設立。
ハンドドローイングを主とする手作業の図案によるテキスタイルデザインを中心に、日常に寄り添うデザイン活動を行っている。
2019年、フィンランド・日本外交樹立100周年を記念し、親善大使を務める。
初めての旅は真冬で、寒くて暗いフィンランドだったのですが、それを含めて私には普段味わえない日常があるなという何か好奇心を掻き立てられるものがありました。 デザインというファッションに関心を持っていたわけですが、それだけではなく、暮らし全般に渡るデザインへの関心をもつきっかけになったなと思います。
ここ数年は、デザインキャピタルということを指標にして、斬新な建築など色々なデザインの取り組みが多く、初めて訪れた時に比べると随分近代的でもあり、でもそれが無機質ではなく人間性をとても持っているなと感じています。
この度、Etana Editionsの絵本が日本の読者の皆さまにも手にとっていただけることを嬉しく思います。
北欧やフィンランドの伝統的なストーリーテリングを、現代の素晴らしいイラストレーターの作品と組み合わせてお届けしたいと考えています。
皆さまに、私たちの絵本の中に特別な空想の世界を見つけていただき、魅力を感じていただければ幸いです。
Etana Editionsはフィンランドの絵本専門の出版社です。
私たちは、絵本の内容、ストーリーテリング、イラスト、素材の質の高さにより、世代を超えて、あらゆる年齢層の読者に喜んでいただけると信じています。
Etana(エタナ)とはフィンランド語で “カタツムリ” の意味です。
慌ただしい時間の中で、特別な時間を共有できるような絵本を目指しています。
子どもたちがお気に入りの絵本を持っていると、どこにいても家にいるような感覚になります。
ハンナ・コノラさんの絵本は、切り取られる情景がとてもグラフィカルで印象的。柔らかい色調で構成されるページごとに、暖かかったりキーンと冷たかったり、季節の風の温度を感じました。
原書に合わせて、ちょっとファニーで優しい日本語書体を選びました。
ハンナさん皆川さんお二方による素敵な本を、形にするお手伝いができて嬉しいです。
アートディレクター・グラフィックデザイナー。
グラフィックデザインを基軸にブックデザイン、VI,サイン計画など幅広く活動。
出版活動として2017年よりYOU ARE HEREを主宰。
さく: Hanna Konola (ハンナ コノラ)
やく: 皆川 明
日本語版デザイン: 小熊千佳子
定価: 本体2,000円+税
仕様: 208 x 260 mm、24ページ
発売日: 2020年12月21日
発売元: KORVAPUUSTI